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探偵食堂 ~栗ご飯とさんまの塩焼き~
調査が終わり、依頼者に報告を終えたころ、俺のもうひとつの仕事が始まる。
営業時間は調査が入ってない時。人は「探偵食堂」って言ってるよ。
メニューはない。勝手に注文されてもできないものは作らないよってのが俺の営業方針さ。
客が来るかって?
それが結構来るんだよ。
今日のメニューは「栗ご飯とさんまの塩焼き」だ。
やっと秋らしさを感じる今日この頃、秋になるとオレはなんとなく食べたくなるのが栗ご飯さ。
一から作ろうとすればとにかく面倒なのだが、今はこういった便利でしかも旨いものが売っているので手軽に作れる。
二合の米にこれを入れて炊くだけで・・・、
旨そうな栗ご飯のできあがりだ。
そして「秋といえば」ということで・・・、
さんまの塩焼きだ。
さんまの塩焼きには大根おろしがかかせないのだが、オレは辛味が強い下めを鬼おろしで皮ごとおろし、それにみじん切りにしたねぎを合わせる。
この大根おろしにみじん切りにしたねぎを合わせるのは、和食の名店「分とく山」の料理人 野﨑洋光先生がこれを紹介しているのを見て試したところ、それ以来、オレはねぎなしの大根おろしではものたりなくなってしまった。
気になった人はぜひ試してほしい。
しかし、さんまの値段が高くなって久しい。一昔前は100円切っていたのだが、今やその値段では手に入らない。
(東京23区では)
今回買ったさんまも198円だったのだが、考えてみれば鮭や鯖の切り身がそれくらいからの値段なので妥当なのかも。
(もっともさんまは一尾の値段なのだが)
さんまの塩焼きで思い出すのはオレが10代の頃によく通った今はなき西小山の食堂「ラッキー」の「目黒のさんま定食」。
値段は忘れたが一尾半ついてたっけな。テーブルには「目黒のさんま」の由来が書いたものが置いてあったりして。
なんで値段おぼえてないかっていうと、若い10代のオレはだいたいいつも「ハムソーセージ定食」だったからさ。
10代じゃあ、まちがいなく魚頼まねぇよな。
今行ったら一尾半の「さんま定食」、瓶ビールつけて絶対注文するよ。
40年くらいの前の昔、腹ペコな10代のオレを1000円でお釣りがくる値段で十分満たしてくれる店だったなぁ。