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探偵食堂 ~ 焼きめし ~
調査が終わり、依頼者に報告を終えたころ、オレのもうひとつの仕事が始まる。
営業時間は調査が入ってない時。人は「探偵食堂」って言ってるよ。
メニューはない。勝手に注文されてもできないものは作らないよってのがオレの営業方針さ。
客が来るかって?
それが結構来るんだよ。
今日のメニューは「焼きめし」だ。
「チャーハン」ではなく「焼きめし」。
オレが最初に覚えた料理が「焼きめし」だったと思う。
ウチはオレが小学5年生の頃から母親と3つ下の妹との3人暮らしだった。
子どもの頃、土曜は午前中で学校が終わるから当然給食はない。
あの頃の普通の家の子なら家に帰れば昼飯が待っていたんだろうけど、
母子家庭のウチは母親が働きに出てるから帰っても昼飯はない。
そこで母親はオレに妹の分も作るようにと教えてくれたのが焼きめしさ。
使うご飯は当然昨日の残りの冷やご飯。電子レンジなんてウチにはなかったからね。
具は玉子とベーコン、味付けは塩とこしょうとしょう油のみ。
中華味の素みたいなのもウチにはなかったんじゃないかな。
自炊をしだしたのは30歳の頃。
料理に目覚めた野郎がはじめに極めようと意気込むのがチャーハンとペペロンチーノだって相場は決まってる。
なぜならオレがそうだったから。
色んな料理本に料理雑誌、料理番組とかで作り方を漁ったよ。
その頃の家庭でのチャーハン(焼きめし)の作り方としては、
「温かいご飯で強火にかけたフライパンを振るとお店のようなパラパラチャーハンが出来ますよ」
なんていう感じだったんじゃないかな。
でも近頃じゃあテフロン加工とかのフライパンを使い、一般家庭の火力で作ることを想定して
「温かいご飯で中火にかけたフライパンを振らずに火から離さないで」
という作り方を教える料理人さんや料理研究家さんがほとんどだろう。
しかし、オレが一番尊敬する料理研究家の土井善晴先生の「焼きめし」は「冷やご飯」で作る。
土井先生の「焼きめし」の作り方はこうだ。
フライパンに油を熱し、溶き卵を入れる。火加減は中火から弱火。
そこに冷やご飯を入れ、すぐにひっくり返したらご飯があったまるのに合わせてゆっくりとほぐしていく。
ここでガシガシとほぐそうとするとご飯にねばりが出てしまい、仕上がりがパラパラにならない。
ある程度ご飯がほぐれたら塩コショウを振るのだが、レシピでは具にソーセージを2,3本使うため、
その分を考えていい塩梅で塩コショウをと先生仰るんだよ。(なかなかの上級)
ここまでフライパンは振らずに終始コンロにつけたまま。
「焼きめし」なので炒めるのではなくめしを焼き付ける。
ここからは火を強め、一気に仕上げにかかる。
刻んだねぎとしょう油を加えたら、ごま油と大さじ1程度のお湯を全体になじませる。
ごま油は風味付けに、お湯は調理で水分が飛んだご飯をほどよくしっとりとさせ、パサパサ感をなくすため。
こうして作った土井先生の「焼きめし」はパラパラでありながらしっとりとしていて決してパサパサではない仕上がりになる。
気取った調味料なんか使わず、味付けは塩コショウとしょう油だけなんてまさにオレがガキの頃に作った焼きめしじゃないか。
こうやって冷やご飯で焼きめしを作っていると、妹に焼きめしを作ってやった土曜の昼のことを時々思い出す。
*「探偵食堂」は架空の店舗であり、実在しません。
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調査報告書
探偵がご依頼者様に提供できることで代表的なものは調査力です。
調査力を目に見える形にしたものが調査報告書です。
調査報告書は、我々探偵にとっての商品といえます。
どんなに過酷で高いレベルの調査を行っても、誤字・脱字があったりや内容の分かりにくい調査報告書では価値がありません。
同じ調査内容や結果でも調査報告書の品質が高ければ、ご依頼者様にとって裁判等に有利になることもあります。
それほど重要な商品です。
我々探偵が調査報告書を見ればその探偵社のレベルがわかります。
調査報告書で手を抜く探偵は三流です。
ということを、調査報告書作成の度に自分に言い聞かせる、、今日も探偵!でした。
明日は東京都内で報告なので、これから調査報告書の最終チェックです。
東京都内も茨城県も関東も全国も海外も走り回っているSHD探偵事務所 守谷です。