-
探偵食堂 ~猫まんま~
調査が終わり、依頼者に報告を終えたころ、俺のもうひとつの仕事が始まる。
営業時間は調査が入ってない時。人は「探偵食堂」って言ってるよ。
メニューはない。勝手に注文されてもできないものは作らないよってのが俺の営業方針さ。
客が来るかって?
それが結構来るんだよ。
今日のメニューは「猫まんま」だ。
店を閉めようとした朝6時半頃・・・
「かつぶしある?」
「あるけど・・・、なんだい?」
「あったかいご飯に乗っけてお醤油かけて食べたいんだけど・・・」
「・・・猫まんまかい?」
「・・・おじさんも好き?」
「ああ、・・・あんた、時間あるのかい?」
「うん、・・・お金はあんましないけど」
「どうせなら出来立てのめしで作ってやろうか、俺も喰いたくなってきた」
「ほんと」
「ああ」
こうして始まる「深夜食堂」第2話。
アタマに「売れない」がつく演歌歌手のみゆきが恐る恐る初めて入った「めしや」でマスターに頼んだのが「猫まんま」。
アルミの炊飯鍋で炊いためしに削り器で削りたてのかつおぶしをたっぷり乗せて醤油をまわしかけた「猫まんま」を出されたみゆきからは一口食べるたびに笑顔がこぼれる。
この日から「めしや」に通うようになったのをきっかけに売れっ子演歌歌手となっていくみゆきなのだが・・・。
俺が「深夜食堂」のなかでも大好きなエピソードの一つさ。
うちには削り器がないので「削り節」で。ただしちょっといいのを。
めしは土鍋で炊いた炊き立てで。
飯がうまいと幸せな気分だ。
茨城県筑西市、下妻市の調査もSHD探偵事務所にお任せください。
*「探偵食堂」は架空の店舗であり、実在しません。