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探偵食堂 ~素うどん~
調査が終わり、依頼者に報告を終えたころ、俺のもうひとつの仕事が始まる。
営業時間は調査が入ってない時。人は「探偵食堂」って言ってるよ。
メニューはない。勝手に注文されてもできないものは作らないよってのが俺の営業方針さ。
客が来るかって?
それが結構来るんだよ。
今日のメニューは「素うどん」だ。
オレの母方の実家は、今の「京都府京丹後市」で戦後まもなく創業したうどん屋だ。
今はオレの叔父夫婦がやっている。
先日、叔父が生のうどんを送ってくれたので今日は『うちの素うどん』さ。
うちの素うどんにはネギとおぼろ昆布がのっている。
ネギはまぁいいとして、なぜ「おぼろ昆布」なのか、それはわからない。
そして店のテーブルには昔っから『一味とうがらし』。
なぜうちの店は『一味』なのかというと、オレのひいばあちゃんが当時畑でとうがらしを作っていたからだそうだ。
それにしても「おぼろ昆布」ってなかなか売ってないんだよね。
スーパーとかで売っているのはたいてい「とろろ昆布」だ。
どう違うのかって?
詳しくはオレも知らないけど削る方法が違っていて「おぼろ昆布」のほうが手間がかかるそうだ。
だから「おぼろ昆布」のほうがお高いんだな。
オレは巣鴨にある「北前船のカワモト」さんに行っておぼろ昆布を買ってきた。
削りたてのおぼろ昆布を販売している「北前船のカワモト」さんは福井に本社がある昆布などの海藻類や佃煮ほかを扱うお店で東京には巣鴨に直営店がある。
実は初めてこちらに買いに行ったんだけと、店にパッケージしておいていたものに「おまけしとくね」っておぼろ昆布を増やしてくてたよ。
うちの素うどんにかかせない青ネギとおぼろ昆布。
東京でおぼろ昆布を買うときは「北前船のカワモト」さん一択だ。
*「探偵食堂」は架空の店舗であり、実在しません。