探偵食堂 ~菜めし~
調査が終わり、依頼者に報告を終えたころ、俺のもうひとつの仕事が始まる。
営業時間は調査が入ってない時。人は「探偵食堂」って言ってるよ。
メニューはない。勝手に注文されてもできないものは作らないよってのが俺の営業方針さ。
客が来るかって?
それが結構来るんだよ。
今日のメニューは「菜めし」だ。
茹でた大根の菜っ葉とめしを混ぜれば完成。
といってしまえば簡単な料理だが、しお味をつけるタイミングで菜めしの味が変わってくるそうだ。
俺がしお味をつけるタイミングは茹でた後に菜っ葉を刻み、軽く水気をしぼって塩を混ぜ合わせる。
しばらく置いてしお味がなじんだ頃、菜っ葉に残っている水分をぎゅっと絞り、めしと混ぜる。
こうするとめしと菜っ葉をあわせてから塩を入れるより菜っ葉にしっかりとしたしお味が感じられる菜めしになる。
先ほどからあえて「しお味」と書いているのは、最近料理番組や食レポなんかでよく耳にする「塩味」を「えんみ」というのが俺はあまり好きではないからだ。
今回は菜っ葉がついた大根が手に入ったから作ったんだけど、都内に住んでいる俺には手に入る機会が少ない。
たまたま事務所からの帰りに守谷のスーパーで見かけて、「菜めし作ろう」って思って買ってきた。
スーパーとかがまだやっている時間に守谷の事務所から帰れる時、店に寄っていくことは俺の楽しみの一つだ。
色々安いのはもちろんだが、地元の農家さんとかの専門の売り場があって、その売り場を見るのが本当に楽しくてしかたがない。
事務所が守谷に移転して約1年半が経つが、こういった話をすると「いつこっちに引っ越してくるの?」と冗談まじりによく訊かれる。
守谷は本当に良いところだと思うんだけど、冬の寒さと春先の花粉が俺には尋常じゃなく、それを耐えることが出来ないんで引越しは・・・。
真冬や花粉症の季節でも守谷の探偵・調査はSHD探偵事務所 守谷へ
*「探偵食堂」は架空の店舗であり、実在しません。